1947-10-27 第1回国会 衆議院 司法委員会 第50号
何も民主主義といえども、家の存置、あるいは家督相續制度、そういう名前はよろしくないかもしれませんが、家を立てて守つていくという人をはつきりときめるような制度はできないものであろうか、これだけは殘せないものであろうかと、非常に案じでおるのであります。さらにアメリカ人なども、日本の家族制度の美點をみて、こうした家を守つて一人の人が立てていく。
何も民主主義といえども、家の存置、あるいは家督相續制度、そういう名前はよろしくないかもしれませんが、家を立てて守つていくという人をはつきりときめるような制度はできないものであろうか、これだけは殘せないものであろうかと、非常に案じでおるのであります。さらにアメリカ人なども、日本の家族制度の美點をみて、こうした家を守つて一人の人が立てていく。
而して新憲法の施行せられております今日、古き家督相續制度の觀念から脱却すると共に、新憲法の理念に立脚し、新たなる觀點より農業の社會的生産力發展の基盤を確保するために、農業資産の相續について民法の特例法を制定せんとするのか、即ち本法案提案の理由の骨子であります。 以下法案の主要なる内容について概略を御説明申上げたいと存じます。
しかもなおかような零細經營の崩壊を支え、辛うじてその維持發展をもたらしたゆえんの一つは、その可否はともかくといたしまして、わが國の家督相續制度にあつたことは、これまた異論のないところであると存じます。
この家庭内における男女の不平等の存在を消滅せしめて、隷属から女性を解放せしめますためには、どうしてもこの家督相續制度を廢止することが必要であると存じます。しかしこの制度の廃止によつて根本的な男女不平等の根源は除去されましても、ほかのいろいろな部面で法律に女子の地位が弱くなつていて、あるいは不平等を起しやすいような制度がある。
歴史上から考察いたしましても、家督相續制度の前提をなす家族制度は、近代におけるわれわれの自覺と、産業革命以後における経済的變動によつて、崩壊しつつあるのでありまして、わが國におきましても職業と家柄、かばねの制は早くすたれて氏となり、氏はわかれて苗字となり、家名を表すその苗字さえも、江戸時代には、一般大衆には認められなかつたのであります。
なぜならば、長男とか何とかに缺陷がある場合にはしかたがなく、廢止するのもやむを得ませんけれども、さもない以上は、どうしても今まで通り家督相續制度を廃止するということは、私は不贊成であります。
わが國におきましては、從來家督相續制度、すなわち獨占相續制度が相續法の中心になつてまいつたのでありましたが、これは憲法二十四條の至上命令として改正Lなければならなくなつたのであります。
あるいはここへ家督相續制度という言葉を入れれば入れるくらいのものでありまして、そういつたことはいいですけれども、これが全然意味のわからないものにもしなるとするならば、非常に演説する人もやりにくくなるしするから、何も表面に押えられている問題でありませんから、でき得る限りこういう家督相續制度廢止の可否というようなことでやつていただきたいと私は思います。